法人化のメリット

 任意団体や個人で活動中の場合、税務上はその損益がすべて代表者個人に帰属します。いくら分別会計を試みてもあくまで納税者は代表者ですから、最終的にはすべて合算されます。このため、その団体での活動規模が拡大するほど、代表者の負担は大きくなるジレンマを抱えてしまいます。

 また、社会的信用においても法人化はプラスに作用します。特に取引相手が大企業や行政機関の場合、個人や任意団体では門前払いとなっていることが考えられます。法人は有限責任、個人は無限責任とはいうものの、代表者の不測の事態への対応力は法人の方が上と理解されているからといえます。

 任意団体から法人成りしたらすぐに新たなビジネスが生まれたり、既存顧客からのビジネスが増加したという話も実際によく聞きます。たしかに法人化すると余分な税金が損益にかかわりなく課税されます(法人住民税均等割7万円)。しかし、ビジネスの拡大というメリットを見過ごすわけにはいきません。

 

NPO法人との比較

NPO法人と一般社団法人の比較

 

NPO法人

一般社団法人

設立にかかる

期間

書類作成に34週間

所轄庁の審査で約4ヶ月
登記手続に約1週間
合計約5ヶ月

書類作成に12週間
登記手続に約1週間
合計23週間

書類作成の

難易度

難しい

易しい

設立に必要な

構成員の人数

10人以上

2人以上、ただし

理事会設置の場合は3人以上

構成員の

入会制限

不可

構成員の

議決権の数

一人一票

定款で定めれば変更可

設立に必要な

役員等の人数

理事3名以上
監事1名以上
合計4名必要

理事1名だけでも設立可

役員の親族規定

有り

無し

理事会等への出席義務及び開催回数

書面評決が可
開催回数は必要に応じて

書面評決不可
原則年4回の開催が必要

設立に必要な財産の額

0円でも設立可

0円でも設立可

設立手続に

必要な経費

定款認証手数料:0
定款添付印紙代:0
登記時の印紙代:0
合計0

定款認証手数料:約5万円
登記時の印紙代:6万円
合計11万円

活動内容

公益の増進に寄与する活動に限られる

特に制限なし

所轄庁への

報告義務

有り

無し

法人税の免除

税法で定められた収益事業を行っていなければ有り

原則無し、ただし非営利法人の届出があれば非営利部分は非課税

法人住民税の

免除

税法で定められた収益事業を行っていなければ有り

無し

登記変更時の

印紙代免除

有り

無し

 

 

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